スマホアプリ「星座表」の中上級者向け3機能で追加される天体

2022年1月16日

今回は、スマホアプリ「星座表」でアップグレード(拡張、追加)可能な中上級者向けの3つの機能

  • 彗星
  • 拡張した太陽系
  • 星表を拡張

について、追加される天体と機能の紹介をします。「星座表」でアップグレード購入を検討するとき、または「星座表∞」を購入するときの参考にしてください。

残りの4つのアップグレード

  • 衛星
  • 流星群
  • 星座を拡張
  • メシエ星表を拡張

は初心者にも役立つ機能です。これについては別の記事を参照してください。

ただし、「星座表」のアップグレード購入には、価格面で注意が必要です。ほとんどの方にとって、アップグレード(\370~\1,220)を購入するよりも、「星座表∞」(全アップグレード機能を含む。\610)を買ってしまった方がお得です。ひとつでも「買おうかな」というアップグレードがある方は、アップグレードを購入する前に「「星座表」でアップグレードを買うなら「星座表∞」がお得!」もチェックしてください。

「星座表」のアップグレード全7種

星座表には、表1の7つのアップグレードがあります。あらゆる層の方を含めて考え、利用される方が多いと思われる順に並べました。表中の「ターゲット層」は、それぞれの機能を「どんな方が使いそうか?」を考えて私が分類しました。このうちの1~4は、初心者でも使える機能であり、別の記事で紹介しています。

ここでは、アマチュア天文家の中でも中上級者向けと思われる、残りの5~7の機能について紹介します。

機能機能の概要ターゲット層
1. 衛星10の人工衛星を追跡子供を含む全員
2. 流星群主な28の流星群の今年の観測場所と日付を表示子供を含む全員
3. 星座を拡張高解像度の星座のアートワーク子供を含む全員
4. メシエ星表を拡張リマスターされたメシエのカタログ子供を含む全員
5. 彗星ハレー彗星ほか23の彗星を追跡アマ中上級以上
6. 拡張した太陽系月、小惑星、矮星アマ中上級以上
7. 星表を拡張星が125,000から200万に増えるアマ上級、プロ
表1:「星座表∞」の7つの機能

「星座表」の中上級者向けアップグレード3種

彗星

「彗星」アップグレードでは、表2の23の彗星が追加されます。これは、彗星が近づく数か月前から望遠鏡で追跡観測するような、アマチュア天文家の中でも熱心な方向けの機能です。

彗星の観察を手軽に楽しめるチャンスは10年や20年に一度とかなりレアです。加えて、ほとんどの彗星は、望遠鏡がないと「ほうき星」としての観察を楽しむことはできません。このため、多くの方にとってはほぼ使うことのない機能です。

1986年に接近したハレー彗星も「双眼鏡でも見える」と言われていましたが、双眼鏡でもかろうじて星に見える程度で、とても暗かったです。肉眼では全く見ることができず、万人が楽しめる天体ショーとは程遠いものでした。

アプリでの表示(英語)と和名公転周期次回の
近日点通過
備考
ISON
アイソン彗星
2013年の近日点通過で
ほぼ消滅
Lovejoy
ラヴジョイ彗星
698年±3年2706
~2713年
Linear
リニア彗星
5.71年
Halley
ハレー彗星
75.3年2061年
Encke
エンケ彗星
3.30年2023年
Faye
フェイ彗星
7.545年2029年
Tempel 1
テンペル第1彗星
5.52年
Tempel 2
テンペル第2彗星
5.36年2026年
Tempel-Swift-LINEAR
テンペル・スイフト・LINEAR彗星
6.372年2027年
Borrelly
ボレリー彗星
6.862年2022年
Kopff
コプフ彗星
6.457年2022年
Neujmin 28P
ネウイミン第1彗星
18.17年2039年
Schwassmann-Wachmann
シュワスマン・ワハマン第一彗星
14.7年2033年
Neujmin 42P
ネウイミン第3彗星
2036年に
小惑星ベスタに接近
Van Bies(e)broeck
ファン・ビースブルック彗星
Tempel-Tuttle
テンペル・タットル彗星
33.231年2031年しし座流星群の母天体
Churyumov-Gerasimenko
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星
6.57年2022年
West-Kohoutek-Ikemura
ウェスト・コホーテク・池村彗星
6.48年2026年
Wild 2
ヴィルト第2彗星
6.408年2022年
Machholz
マックホルツ彗星
113,465年115,470年
Shoemaker 1
シューメーカー第1彗星
Swift-Tuttle
スイフト・タットル彗星
133.28年2126年ペルセウス座流星群の
母天体
Siding Spring
サイディング・スプリング彗星
なし2014年の近日点通過が
最初で最後
表2:「彗星」に収められている彗星

※ 表2の公転周期、次回の近日点通過はWikipediaの情報です

各彗星について、下の画面のような情報が見られます。距離と光度、座標、いずれも、「現在の値」をリアルタイムに見られるだけです。「次にどんな彗星が見られるのかな?」と考えてアプリを開くときには、最低でも、

  • 公転周期
  • 次回の近日点通過
  • 推定最大視等級

が知りたくなると思うのですが、そうした情報はアプリ上で見ることはできません。

アイソン彗星の情報表示
アイソン彗星の情報表示画面

拡張した太陽系

「拡張した太陽系」アップグレードでは、表3の「拡張した太陽系」列の72の天体が追加されます。拡張前から収録されている天体でも、望遠鏡でしか見られないものが多数ありますから、これも、熱心なアマチュア天文家向けの機能と言えます。

区分太陽系(拡張前)拡張した太陽系
準衛星冥王星の衛星(Charon)Ceres, Eris, Haumea, Makemake, 冥王星の衛星(Nix, Hydra, Styx, Kerberos)
地球の衛星
火星の衛星フォボスダイモス
木星の衛星イオエウロパガニメデカリストAmalthea, Himalia, Elara, Pasiphae, Sinope, Lysithea, Carme, Ananke, Leda, Thebe, Metis, Adrastea
土星の衛星ミマスエンケラドゥステティスディオネレアタイタンヒペリオンイアペトゥスフェーベEpimetheus, Janus, Pandora, Prometheus, Telesto, Calypso, Helene, Polydeuces, Fornjot, Loge, Ymir, Kari, Surtur, Fenrir
天王星の
衛星
アリエル、ウンブリエル、チタニア、オベロン、ミランダPuck, Sycorax, Belinda, Juliet, Cressida, Caliban, Portia, Margaret, Mab, Ferdinand
海王星の
衛星
トリトン、ネレイド、プロテウス、ラリッサNeso, Laomedeia, Sao, Psamathe, Halimede, Naiad, Galatea, Despina, Thalassa
小惑星Vesta, Pallas, Hektor, Gaspra, Eros, Lutetia, Orcus, Quaoar, 2007 OR10, 9 Metis, 10 Hygiea, 87 Sylvia, 52 Europa, 704 Interamnia, 511 Davida, 532 Herculina, 31 Euphrosyne
ケンタウルス族Chiron
エッジワース・カイパーベルトSedna
表3:「拡張した太陽系」に収められている天体

各天体について、下の画面のような情報が見られます。

冥王星の衛星Hydraの情報表示
冥王星の衛星Hydraの情報表示

スカイビューモードでは、下の画面のように、かなり大きくズームインされて表示されます。星空の中での位置を確認するには、画面右下の虫眼鏡アイコンをタップします。または、画面をピンチインしてズームアウトします。

冥王星の衛星Hydra(スカイビューモード)
スカイビューモードで見た冥王星の衛星Hydra

下の画像のように、エクスプロアモードでも見ることができます。ただし、「拡張した太陽系」で追加される天体はすべて、画像のようにワイヤーフレームモデルで表示されます。3Dのサーフェスモデルで天体が表示されるのは、表3にある天体のうち、青い文字で表示したものだけです。

冥王星の衛星Hydra(エクスプロアモード)
エクスプロアモードで見た冥王星の衛星Hydra

星表を拡張

「星表を拡張」アップグレードでは、表4の通り、追跡/情報表示できる星の数が大幅に増えます。しかし、表5の通り、拡張前でも8等星と一部の9等星までが収録されており、充分過ぎるほどです。拡張後では、11等星と一部の12等星までがカバーされます。

アプリのUser Guideによると、天文学者は、ここで拡張されるような暗い星を目印にして、更にもっと暗い天体を探すことがあるそうです。9~12等星の位置を手掛かりに、それよりも暗い星を探すと考えると、一般の方が使う機会はほとんど無く、アマ上級~天文学者などプロ向けの機能と考えられます。

星表(拡張前)星表を拡張
iOS125,0002,000,000
Android125,0002,000,000
Windows 8125,00020,000,000
表4:「星表を拡張」で見ることができる星の数
見かけの等級星の数星の数合計好条件下での観察方法
1等星2121
2等星6788
3等星190278
4等星7101,000
5等星2,0003,000
6等星5,6008,600肉眼
7等星16,00024,600
8等星43,00067,600
9等星120,000187,600
10等星350,000537,600双眼鏡(7倍x50mm)
望遠鏡(口径30mm)
11等星870,0001,407,600望遠鏡(口径50mm)
12等星2,300,0003,707,600望遠鏡(口径70mm)
表5:見かけの等級ごとの星の数と観察方法

まとめ

スマホアプリ「星座表」の中上級者向けのアップグレード

  • 彗星
  • 拡張した太陽系
  • 星表を拡張

について見て来ました。天体観測時にアプリを活用するとなると、アマチュア天文家の中でも中上級者向けの機能ですが、初心者や、子供と一緒に天体観測を楽しむ方にとっても、「アプリの中で見て楽しむ」という使い方ができます。

\610の「星座表∞」を買えば、他の初心者向け機能(衛星、流星群、星座を拡張、メシエ星表を拡張)と一緒に付いて来るものなので、 この記事を参考に、「星空に思いを馳せる」楽しみ方をしていただけたらと思います。