キャンプ場で見たい! 子供も楽しめる天体3選

2021年11月30日

キャンプ場は、場所によっては周辺に集落や道路などの光源が一切無く、星がものすごくよく見えるところがあります。夜空が星でびっしりと埋め尽くされているような感じです。もちろん天の川も余裕ではっきりと見えます。そんな星を見るのに打って付けのキャンプ場に巡り会えたとき、なかなかないチャンスなので「是非見ておきたい!」という天体3つを紹介します。

どれも、
・普段、都市部では見ることができない
・キャンプの夜に肉眼で手軽に見られる
・子供も一緒に楽しめる
天体です。暗い天体なので、条件のいい場所で、新月~細い月の日を選んで観察してください。
なお記事中の画像はすべてスマホアプリ「星座表∞」からキャプチャしたものです。

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星がよく見えるキャンプ場

プレアデス星団(M45)

日本では「すばる」(昴)とも呼ばれている散開星団です。学校で習うので小学生にもよく知られていますが、残念ながら都市部では星がせいぜい5個程度しか見えないので、星団感が全く味わえません。それが条件のいい暗い場所だと、15~20個の星が見えます。小さなエリアに星が散りばめられていて、青白い星ばかりで色が揃っていることもあり、ちょっと息を呑むような美しさです。双眼鏡があれば更に美しく見えます。背景の星雲は肉眼では見えません。

プレアデス星団(M45)
画面1:プレアデス星団(M45)

子供は21時頃までしか起きていられないと考えると、関東地方で観測に適しているのは、表1の通り、10月下旬~3月中旬です。キャンプ中には大人でもなかなか大変ですが、23時まで頑張って起きていられれば、秋は一か月ほど早くから見られます(表1の薄い青の部分)。3月は、日没後暗くなって来たと思ったら、20時頃には地平線近くまで下がり、暫くで没してしまうので、起きている時間は関係ありません。

おうし座にありますが、星座表などのスマホアプリを使って探すといいでしょう。

観察に適した時期 M45
表1:プレアデス星団(M45)の観察に適した時期

※表1、表2、表3は、スマホアプリ「星座表」で10日ごとの夜空を確認した結果を元にまとめました。

オリオン大星雲(M42)

肉眼で見える数少ない星雲の中で最も明るい星雲ですが、条件のいい場所でないとなかなか見えません。ですから、ぼうっと雲のように光って見えると感動します。場所は、オリオン座の小三ツ星(腰から下の中央に、縦に三つ並ぶ星)の真ん中あたりです。オリオン座は小学生もみんな知っている星座なので、大変見つけ易いです。画面2の左半分(拡大表示)に小三ツ星が3つとも入っているので、星雲の位置と大きさの目安にしてください。

オリオン大星雲(M42)
画面2:オリオン大星雲(M42) 右はオリオン座の中の位置を示す(○印)

子供は21時頃までしか起きていられないと考えると、関東地方で観測に適しているのは、表2の通り、12月下旬~3月中旬です。23時まで頑張って起きていられれば、一か月ほど早く、11月下旬から見られます(表2の薄い青の部分)。3月は、20時頃には地平線近くまで下がり、暫くで没してしまうので、起きている時間は関係ありません。冬の時期に限られるので、これに合わせてキャンプに行くのはちょっと辛いですね。

観察に適した時期 M42
表2:オリオン大星雲(M42)の観察に適した時期

アンドロメダ銀河(M31)

日本で肉眼で見える唯一の銀河なので、これも見えると感動します。ただし、肉眼では渦巻きは見えません。距離は254万光年 ※1 もあり、肉眼で見える最も遠い天体でもあります。約300万光年 ※2 離れたさんかく座銀河(M33)も肉眼で見えるとも言われていますが、肉眼での観察に成功することはほとんどありません。大マゼラン雲と小マゼラン雲も肉眼で見える銀河なのですが、南半球でしか見えません。

下の画像で見えている銀河の大きさで月5個分もあり巨大ですが、肉眼で見えるのは月1個分ほどでしょうか。

※1 スマホアプリ「星座表」
2 ウィキペディア

アンドロメダ銀河(M31)
星座表の画面3:アンドロメダ銀河(M31)

子供は21時頃までしか起きていられないと考えると、関東地方で観測に適しているのは、表3の通り、9月上旬~2月上旬です。23時まで起きていられれば、一か月ほど早く8月から見られます(表3の薄い青の部分)。2月は、20時頃には地平線近くまで下がり、暫くで没してしまうので、起きている時間は関係ありません。夏から秋にも観察できるので、ここまで紹介した3つの天体の中では、キャンプシーズンと一番マッチしています。

アンドロメダ座にありますが、日本人には馴染みのない星座なので、星座表などのスマホアプリを使って探すといいでしょう。

観察に適した時期 M31
表3:アンドロメダ銀河(M31)の観察に適した時期

一度肉眼で見ることができたら、「もっときれいに見てみたい!」と興味が湧いて来る方もいらっしゃるのではないかと思います。双眼鏡・望遠鏡を使うと、表4に挙げたものを観察できるようになります。ただ、大口径の望遠鏡であっても、星雲・銀河の場合は、目で見ながらリアルタイムに色を感じることはできません。望遠鏡を赤道儀に載せ、長時間露光で写真を撮って初めて色が分かって来ます。

双眼鏡望遠鏡
口径100mm
望遠鏡
口径200mm
プレアデス星団(M45)背景の星雲
オリオン大星雲(M42)淡い光の広がり鳥が羽を広げている形
アンドロメダ銀河(M31)楕円形に光る様子
すぐそばのM32、M110
渦巻き構造
表4:双眼鏡、望遠鏡で見えるもの

さて、ここまで紹介した3つの天体は、星がとてもよく見えるところに出掛けた機会に見ておきたい、というものでした。ここからは、都市部でも楽しめる天体観測を追加で紹介します。もちろん田舎で見るのも、よりきれいに見えるのでお勧めです。子供にとっては、教科書の上で見た星を実際に観察することで、学習内容が定着したり、宇宙により興味を持つことが期待できます。

恒星

小学生向けの塾では、表5の14個の一等星を習います。表にある情報の中では、視等級、表面温度の細かい数値は習いません。すべて一等星であること、また、赤 → 橙 → 黄 → 白 → 青白の順で表面温度が高くなることを習います。半径も習いません。

※ 表5の数値(視等級、表面温度、半径)はスマホアプリ「星座表」で表示される値です。
※ K(ケルビン)は絶対温度を表す単位(0℃ = 273.15K)です。
※ Rは太陽半径を1とした恒星の大きさを表す単位です。

季節 星座 視等級 表面温度 半径
レグルス しし座 1.36 青白 15,400K 4.15R
スピカ おとめ座 0.98 青白 22,400K 7.80R
アークトゥルス うしかい座 -0.05 4,300K 25.70R
アンタレス さそり座 1.06 3,500K 800.00R
アルタイル わし座 0.76 8,500K 2.03R
ベガ こと座 0.03 9,602K 2.78R
デネブ はくちょう座 1.25 8,525K 114.00R
カペラ ぎょしゃ座 0.08 4,940K 12.20R
アルデバラン おうし座 0.87 4,010K 44.20R
ベテルギウス オリオン座 0.45 3,500K 936.00R
リゲル オリオン座 0.18 青白 11,000K 78.00R
ポルックス ふたご座 1.16 4,865K 8.00R
プロキオン こいぬ座 0.40 黄白 6,650K 2.05R
シリウス おおいぬ座 -1.44 9,940K 1.71R
表5:塾で習う一等星

・星座の凡その形とその中での一等星の位置
・星の色と温度との関係
・赤色巨星(アンタレス、ベテルギウス)がその名の通り赤いこと
を意識しながら観察するといいでしょう。3つのポイントとも、星座表などのスマホアプリを使うと簡単に確認することができます。

参考までに、もし太陽がベテルギウスの大きさだったら、地球と火星は完全に飲み込まれてしまいます。また、もう少しで木星に届きそうなくらいの巨大さです。

惑星

太陽系の惑星のうち、水星・金星・火星・木星・土星は、都市部でもかなり明るく見えます。土星以外はシリウス(-1.46等 ※3)よりも明るく見えるときがあり、まぶしいほどで、一度見たら強烈な印象が残ります。

惑星は、公転しているせいで天空上を移動するので、星座早見盤には載っていません。星座表などのスマホアプリを使って探すといいでしょう。色と明るさで、二度目からは何も見ないでも、どの惑星かが大体分かるようになります。

肉眼で見ても楽しめますが、言ってしまえば「すごく明るい星」に過ぎません。双眼鏡・望遠鏡を使うと、表6のとおり、もっと色々な観察ができるようになり、何十倍も楽しみが膨らみます。

見かけの
等級 ※4
肉眼双眼鏡望遠鏡
口径100mm
望遠鏡
口径150mm
水星-2.4~5.7満ち欠け
金星-4.7~-3.8満ち欠け
火星-2.94~1.6模様極冠
木星-2.9~-1.6赤茶イオ、エウロパ、
ガニメデ、カリスト
縞模様、大赤斑
土星-0.4~1.47クリームリング
タイタン
縞模様
リングの濃淡
カッシーニの間隙
天王星5.6~5.9青緑×~△
海王星7.67~8.00××~△
冥王星13.65~××××
表6:肉眼、双眼鏡、望遠鏡で見えるもの

※3 スマホアプリ「星座表」
4 ウィキペディア