天空の絶景「四国カルスト」とキャンパーの聖地「姫鶴平キャンプ場」

2022年11月30日

今回は、高知県と愛媛県との県境に広がるカルスト台地「四国カルスト」と、姫鶴平キャンプ場を紹介します(2014年7月下旬訪問)。

四国カルストとは

四国カルストは、高知県と愛媛県との県境にあるカルスト台地です。東西約25km、南北約3kmあり、標高は1000~1500mです。東からアクセスすると、天狗高原、五段高原、姫鶴平、大野ヶ原でカルスト地形を見ることができます。山口県の秋吉台、福岡県の平尾台と共に、日本三大カルストとして知られています。

ちなみに「カルスト」とは、石灰岩などの溶けやすい岩石で構成された台地が、雨水や地下水で浸食された地形のことで、石灰岩がポコポコと地表に露出しており、遠くからは羊の群れのように見えます。

地下には鍾乳洞ができます。四国カルストには、大野ヶ原エリアの更に少し西に「羅漢穴」があります。大野ヶ原にある竜王洞、西寺山洞、笹ヶ峠洞は、観光地としては整備されていないようです。

四国カルストの稜線を縫う「天空の道」

日本には、秋吉台、平尾台以外にも、多数のカルスト地形があります。
それでは四国カルストの魅力とは何でしょう?
それは、そこをドライブ・ツーリングするときの爽快感だと思います。

四国カルストのハイライトは、「天空の道」とも言われる県道383号(四国カルスト縦断線)の、天狗高原から姫鶴平まで、凡そ4kmですが、その大部分が稜線(尾根)近くを通っています。加えて、道路沿いに、木・ガードレール・建物など、視界を遮るものがほとんどありません。このため、道路から右を向いても左を向いても、遠くまで大草原を見渡せるのです。ちょうど稜線上を通るところでは、360°のパノラマが広がります。この上ない解放感です。

四国カルスト
四国カルスト 姫鶴牧場の東から望む五段高原

その解放感を確かめようと、日本三大カルストのメインルートをGoogleストリートビューで辿ってみました。その結果が表1です。四国カルストでは、カルスト地形を走る区間の半分近くで、道路の右を見ても左を見ても視界が開けているのです。秋吉台、平尾台と比べると、その割合がずっと高いことが分かります。

ルートカルスト地形を
走る区間(A)
左右とも視界が
開けた区間(B)
B/A区間(A)の標高
四国カルスト県道383号3.8km1700m(3区間)46%1,270~1,430m
秋吉台県道242号5.0km1400m(4区間)28%230~300m
平尾台県道28号3.0km700m(3区間)23%330~400m
表1:日本三大カルストを走るルートの比較

また、表1にある通り、標高が高いこともポイントです。周囲に連なる山々を見渡す景色にも素晴らしいものがあります。もちろん晴れているのが一番いいのですが、雲が足元に広がれば、界王星に向かう蛇の道のような感じになり、別の楽しみ方ができます。

四国カルスト
四国カルスト

こうしたことから、非日常感たっぷりな絶景を楽しむことができます。ドライブ・ツーリングコースとして人気が高いのも納得です。著名な風景写真家の須藤英一さんが「日本百名道 2020」にも選んでいます。

ただし、完全に雲に覆われてしまうと、四国カルストの醍醐味を味わうことができなくなってしまいます。山の天気なので、曇ること、霧がかかることも多いです。よい天気に恵まれることを祈りましょう。

途中、道路脇の駐車できるスペースが10ヵ所以上あるので、車を停めてゆっくり景色を眺め、写真を撮ることができます。天狗高原は、路肩の駐車場から歩いて行きます。看板も何も無いので、トンネルを抜けて300mほど走ったら、見落とさないようにしてください。詳しい場所は下のGoogleマップで確認してください。

四国カルストの真っただ中にある姫鶴平キャンプ場

姫鶴平キャンプ場の基本情報

所在地愛媛県上浮穴郡久万高原町西谷8109番地
料金500円
施設利用料なし
予約方法なし。当日に隣接の姫鶴荘フロントで受付。
標高1,285m(平地より8℃寒い)
姫鶴平キャンプ場の基本情報
サイトタイプ草。フリーサイト。
サイト内の木なし
オートサイト×駐車場(約20台)には隣接しており、近いです
二つ目(一段下)のサイトはオートサイト
電源サイト×
入浴施設×姫鶴荘にも無し
炊事場の温水×
洗濯機×
姫鶴平キャンプ場の施設情報

姫鶴平キャンプ場は、四国カルストエリアのほぼ真ん中、上で紹介した「天空の道」のハイライト区間の西端にあります。キャンプ場と付近の観光スポットの場所は、下のGoogleマップで確認してください。右上の□アイコンで「拡大地図を表示」すると詳しく見ることができます。記事の最後で紹介する買い出し、日帰り温泉もマップで示しています。

施設については、表にあるように最小限のキャンプ場です。トイレは姫鶴荘にしかなく、県道を渡って100mほど歩かないといけません。炊事場も一ヶ所だけ(下の写真中央の建物)です。

キャンプ場はちょうど尾根にあるため、周囲の山々を望む景色が心地よいです。天気がよければ太平洋まで見えるとのこと。山の中ですから、夜はおびただしい数の星、天の川もとてもよく見えるそうです。

私が訪れたときは、たまに雲の間から日が射す程度、または霧がかかっており、残念ながら星は見ることができませんでした。四国ツアー全体のスケジュールがあったので一泊しかできなかったのですが、もう一度行くことがあったら連泊して、星は是非とも見たいと思います。

姫鶴平キャンプ場
姫鶴平キャンプ場

続いて注意点です。
私は四国入りした当日に姫鶴平キャンプ場に泊まりましたが、スケジュールが無謀でした。徳島港でオーシャン東九フェリーを降りたのが13:30、天狗高原あたりに着いたのが17:30、テントほか一通りの設営が終わったのが19:00でした。こんなスケジュールを組む方は居ないかもしれませんが、ちょっとした寄り道もままなりませんので、徳島から来られる方は参考にしてください。

標高は1,280mもあるので、夏でも夜は20°前後まで気温が下がります。また濃い霧が発生しやすく、そうなるとより身体が冷えます。風力発電機があることからも分かる通り、かなりの強風がずっと吹き続けることがあります。防寒着、暖かめの寝袋、太めのペグなど、少し余裕を持った備えをしてください。
私が泊まった日は、風があまり吹いておらず、風力発電機もほとんど回っていませんでした。風については運が良かったようです。

□二つ目のキャンプサイト
上の写真の左端に見える、草の色が明るいところは、車で乗り入れることができるサイトです。一つ目のテントサイトよりは下がったところにあり、360°パノラマとはなりませんが、一つ目のサイトでも、テントから主に眺めるのは県道を背にした山々なので、あまり変わらない眺望が楽しめます。
トイレまで400m、炊事場までは300mあるので、その点は注意です。

姫鶴平キャンプ場の新型コロナウィルス感染症への対応

愛媛県にまん延防止等重点措置が発出されたのに伴い、2021年8月20日~9月12日はキャンプ場が閉鎖 ※1 されました。

(2021年9月13日更新)朝まではキャンプ場閉鎖の記載がありましたが、午後に削除されました。通常営業に戻ったようです。とは言え、陸の孤島とも言えるキャンプ場です。「開いていなかった!」となると大変なことになるので、最新の情報を公式ページで確認しつつ、適宜、姫鶴荘(TEL 0892-55-0057)に問い合わせてください。

※1:姫鶴平キャンプ場公式サイト

その他の情報

日帰り温泉

キャンプ場、および姫鶴荘には、お風呂・シャワーがありません。また、4kmほどのところに天狗荘がありますが、そこの展望風呂は、天狗高原キャンプ場に宿泊しないと利用できません。このため、麓の温泉施設に行くしかありません。

□雲の上の温泉
姫鶴平から22km、車で30分。標高510m。大人500円/小人300円。

買い出し

山の中なので、近くにスーパーやコンビニがありません。最寄りの道の駅に行くと、1,000m近い標高差を移動することになり、ガソリン代も大変なので、計画的に買い出ししておく必要があります。

□道の駅 ゆすはら
姫鶴平から22km、車で40分。標高520m。「雲の上の温泉」に行くなら、隣接しているので、こちらが便利です。「まちの駅ゆすはら」は2kmほど離れたところにある別の施設です。

□サニーマート FCふれあいスーパー丸味 ら
姫鶴平から20km、車で35分。標高410m。

□道の駅 みかわ
姫鶴平から34km、車で50分。標高380m。