仁淀川の沈下橋ガイド 久喜沈下橋のアクセス詳細と注意点

2021年8月5日

今回は、仁淀川にかかる沈下橋を紹介します(2014年7月下旬訪問)。
「仁淀ブルー」の日本一の清流を見たい!との思いからキャンプを計画しましたが、事前に周辺の観光情報を調べたところ、欄干が無くつるんとした見た目の沈下橋が面白いな、と思ったので、見に行って来ました。

下流にあるものから順に、メジャーな4つ(名越屋沈下橋、片岡沈下橋、浅尾沈下橋、久喜沈下橋)をピックアップして紹介します。久喜沈下橋は、入り口が分かり辛かったのと、ルートの選択で注意点があるので詳しくレポートします。

沈下橋とは

沈下橋とは、橋の流失が繰り返された歴史を経て、洪水時に水没することを前提に作られた橋のことを言います。台風などの豪雨に度々見舞われる西日本で多く見られ、高知県、徳島県、大分県、宮崎県の4県に半数以上が集中 ※1 しています。

増水時に流木などが橋の上を流れて行きやすいよう、欄干が無いのが特徴です。その構造から、建設費が安く抑えられるため、山間部や過疎地などの比較的交通量の少ない地域で、生活道路として多く作られました。

※1:ウィキペディア

名越屋沈下橋(仁淀川最大の沈下橋)

名越屋(なごや)沈下橋は、仁淀川にかかる沈下橋の中では最も下流にあり、また長さも一番長く、191mあります。昭和46年に造られました。高知県高岡郡の日高村といの町とをつなぐ、日高村の村道です。
橋の幅も広く、車同士ですれ違うこともできるようです。ばっと見ギリギリな感じなので、あまりやりたくはないですが…。

全長124kmの仁淀川のうち、河口から凡そ22kmと下流域にあるので、川幅が広く、それだけ橋も長くなっています。これだけの大きな橋が、増水時には本当に水没すると言いますから、驚きです。

周辺ではカヌーやラフティングといったアクティビティも楽しめます。ゆったりとした流れの中、川面から橋を見上げるのもいいですね。

□アクセス:駐車場はありませんが、橋の西側に駐車できるスペースがあるので、暫くの間でしたら、車を停めて見学できそうです。車が来たときに、歩行者や自転車が避けるための待避所が4つも備わっていることからも分かるように、交通量はそこそこありました。

(2021年更新)橋の東側の道路には、ポールが立って駐車ができなくなりました。

□アクティビティ:リバークルーズ(カヌー、ラフティング、SUP)
カヌー、ラフティング、SUPとも、名越屋沈下橋がコースに含まれています。念のため、ご利用前には最新の情報を確認してください。

片岡沈下橋

片岡沈下橋は、仁淀川にかかる沈下橋の中では下流から二番目にあり、長さは凡そ100mあります。昭和49年に造られました。高知県高岡郡越知町にあり、越知町片岡地区と南片岡地区とをつないでいます。

河口からは凡そ35kmなので、名越屋沈下橋よりは川幅が狭くなっています。

□アクセス:県道18号から県道301号に分岐するところ(橋の北西)に駐車できるスペースがあるので、車はここに停めると良さそうです。でも看板も何も無いんですよね…。ちょっと不安になりましたが、ここに駐車して歩いて向かいました。
県道301号の、県道18号下をくぐっているところに二ヵ所、それから橋のすぐ手前の右手にも駐車できそうなスペースがありますが、初めに紹介したところが一番安心できる感じです。交通量は、名越屋沈下橋よりは幾らか少なくなっています。

浅尾沈下橋(映画のロケ地)

浅尾(あそお)沈下橋は、河口からは凡そ39km、長さは凡そ121mで、昭和49年に造られました。高知県高岡郡越知町にあり、越知町浅尾地区と鎌井田地区とを結んでいます。周囲を山々に囲まれ、風光明媚な橋として知られ、映画(下記)のロケ地にもなりました。

・「君が躍る、夏」 溝端淳平さん主演。よさこい祭りを舞台にした映画。2010年公開。
・「県庁おもてなし課」 錦戸亮さん主演。高知県庁に実在する観光促進のための部署をモデルにした映画。2013年公開。

橋の全景写真を撮るなら、個人的には「浅尾沈下橋展望所」からのアングルが美しくて好きです。両側から迫る山の真ん中に、ほぼ正面から橋を捉えることができます。「鎌井田本村仁淀川展望所」からだと少し斜めになってしまいます。ただし、どちらも「展望所」とは言っても、路肩が広くなっていて車を止められる場所があるだけです。

それから、「仁淀ブルートリップガイド」に、山の上から橋を見下ろした写真があり、これもとても美しいと思いました。Googleマップで見ると、鎌井田集落の600mほど北に建物が二つあり、恐らくその辺りから撮影したのだと思います。マピオンの地図で見ると、集落から北に細い道が伸びており、そこから行けそうです。

橋と駐車スペース、写真撮影スポット、ラフティングの場所は、下のGoogleマップで確認してください。右上の□アイコンで「拡大地図を表示」すると詳しく見ることができます。

□アクセス:橋のすぐ北側に駐車スペースがあります。交通量は更にぐっと少なくなっているので、様子を見ながら、橋の上でちょっと車を止めて写真撮影くらいはできそうです。ただ、沈下橋はすべて、地元の方のための生活道路です。くれぐれも交通の妨げにならないよう注意しましょう。

□アクティビティ:
・Ultimate River(ラフティング、カヌー)
・LOBO RAFTER(ラフティング)
・スノーピークおち仁淀川キャンプフィールド(ラフティング) 5km上流に移動してスタート
3社とも、ラフティングのコースに浅尾沈下橋が含まれています。カヌーのコースは調べても分からなかったので、ご自身で確認してください。

久喜沈下橋

久喜沈下橋は、高知県吾川郡仁淀川町の仁淀川中流域にあります。昭和10年に造られたもので、四万十川の一斗俵沈下橋と共に、高知県で最も古い沈下橋です。現在も生活道路として利用されています。

河口からは凡そ61kmと、浅尾沈下橋とあまり変わらないようにも思えますが、橋の周りの様相は一変しています。川幅は10mほどしかないですし、4~5mはあろうかという岩がゴロゴロしています。一気に上流域に来た雰囲気です。橋も一気にコンパクトになり、アーチ型の部分で長さ13mしかありません。

仁淀川中流の久喜沈下橋
写真1:久喜沈下橋

久喜沈下橋へのアクセス

久喜沈下橋へは、左岸からアクセスする方法(下のGoogleマップのルート1)と、右岸からアクセスする方法(ルート2ルート3)とで、三通りのルートがあります。Googleマップ右上の□アイコンで「拡大地図を表示」すると、各ルートを確認できます。

左岸からアクセス(ルート1

左岸からアクセスする場合、国道33号(Googleマップの表示では国道439号)で「川口」交差点から西に500mほど進み、「国道33号 松山 77km 久方高原町 43km」という青い看板が見えて来たら(下のGoogleストリートビュー参照)、左にゆるやかに下っていく道に入ります。

すぐに生コン工場(上岡工務店)に囲まれたところに入り込んでしまうので、「ここ入って来てもいい場所なの?」と不安になりますが、大丈夫です。そのまままっすぐ進んでください。分岐から400mほどで、下の写真のように、目的の沈下橋が見えて来ます。

仁淀川中流の久喜沈下橋とその周辺
写真2:左岸からアクセスしたときの久喜沈下橋とその周辺

右岸からアクセス(ルート2

右岸からアクセスするには、国道33号の仁淀川町役場そばから横道に入ります。ただし、最後の最後で川へと降りていく道に入るところで、切り返すことを忘れないようにしてください。下のストリートビューで示したポイントです。3本並んだ真ん中の道を向こう側から来て、左下(車が居ない方)の道へと下りて行きます。

(2021年更新)以前は切り返ししなければならなかったのですが、新しく右上の道ができて広くなったので、楽々曲がれるようになりました。

ここから橋までは少し道幅が狭く、人によっては難所となります。私は特に何も感じることもなく走れたのですが、助手席に座っていた妻は脱輪しそうに感じて本気で怖かったらしいです。ルート1で来て橋を渡り、「もう一回渡りたいな」と思ったので、ここまで来て橋へ引き返そうとしたら、妻に「絶対にやめて!!」と強く反対されてしまいました。

帰り道の注意

右岸から帰るときは、上記のポイントで切り返しして、仁淀川町役場方面に戻った方がいいです(ルート2)。2kmほどで国道33号に戻れるからです。一方、切り返さずにそのまま直進してしまうと、国道439号に戻るまで10km以上(ルート3)、他の車とすれ違うのに苦労するほどの山道を走ることになってしまう(下のGoogleストリートビュー参照)ので、お勧めしません。

車で橋を渡ってみるか、ゆっくり考えられます

まとめると、車の運転に特に不安がない方であれば、
ルート1で向かい、ルート2で帰って来る
ルート2で向かい、ルート1で帰って来る
のどちらかでOKです。

不安な方は、ルート1で向かうといいです。橋の手前が充分広いので、そこに一度車を停めて、歩いて様子を見に行き、
A. 橋を渡って向こうに抜けるか
B. 橋の向こうで方向転換して戻って来るか
C. 橋を渡らずに引き返すか(橋の手前で方向転換)
と方針をゆっくり考えることができます。Bの方向転換は、橋を渡ってすぐ(写真2の大きな岩の向こう側)でできます。

一方、ルート2で向かってしまうと、
・橋を渡る
・Bの方向転換をする
のどちらか片方はクリアしなければならなくなります。また、必ず右岸の細い道を通ることになります。

ルート1で向かっておけば、Cの方向転換だけやれば、他のすべてを回避することができます。大きな岩のプレッシャーが無いので、BよりはCの方向転換の方が楽だと思います。

交通量はとても少ないです。私が行ったときは、一台も車が通りませんでした。

ミニバンで久喜沈下橋を渡って来ました

橋を車で渡った感触ですが、アーチのまん中は結構細く見えるのに、かなり頑丈に感じました。車重1,500kg のミニバンに4人乗り、キャンプ道具満載でしたが、カチカチでビクともしなかったです。橋がたわんだり、繋ぎ目が動いたりという感触が全くありませんでした。

久喜沈下橋を車で渡る
写真3:久喜沈下橋を車で渡る