安居渓谷の水晶淵で仁淀ブルーを体験! 驚きの碧さに感動!

2021年8月6日

今回は、高知県吾川郡仁淀川町の安居渓谷にある水晶淵を紹介します(2014年7月下旬訪問)。

この年の夏休みに「四国に行こう!」と決めたきっかけは「仁淀ブルー」という言葉でした。2012年に放送されたNHKスペシャル「仁淀川~青の神秘~」で、全国屈指の清流の美しさを「仁淀ブルー」と称して紹介しているのを見て、「仁淀ブルーって? そんなに青いの??」と心を揺さぶられたのです。「これは絶対見に行きたい!」と思い、計画しました。

ちなみに「仁淀ブルー」という言葉は、このNHKスペシャルの番組制作中に、カメラマンの高橋宣之さんとディレクターさんとの会話の中で生まれた※1 そうです。
それからこれも大事なポイントだと思いますが、仁淀ブルーの撮影地もこの安居渓谷※1 です。

※1:高知県の観光情報サイト よさこいネット 高橋宣之さんスペシャルインタビュー「仁淀川の魅力を探る」

水晶淵

仁淀川本流から、仁淀川町役場のそばで土居川に分かれ、更に5kmほど上流で安居川に分かれます。この安居川を10kmほど遡ると、水晶淵があります。Googleマップにある「水晶淵駐車場」から150mほどで着きます。キャンプ場は、宮崎の河原キャンプ場、池川ふれあい公園オートキャンプ場が11kmほどと近くて便利です。

整備された遊歩道はありますが、他には何もない静かな自然の中、渓流沿いを上流へと歩いて行きます。澄みきった清流と森を抜ける風で、心まで澄んでくるようです。気持ちが静かに、クリアになって行きます。遊歩道から川へはどこからでも降りて行けます。岩を辿って歩くのもよし、渓流に足を浸かりながら歩くのもよし、思い思いの楽しみ方をすることができます。

水晶淵は「これが仁淀ブルーか!」という感動の水の美しさ!なのですが、「うーん、仁淀ブルー?」緑がかっているんですよね。ブルーになるのは8月半ばから1月半ばだそうです。私が訪れたのは7月下旬だったので、ちょっとだけ時期が早かったようです。また10月頃からは、透明度が一段とアップするそうです。安居渓谷は紅葉も県内随一の美しさとのことなので、この時期を狙うのもいいかもしれませんね。ただ、紅葉の時期は一番混雑するとのことです。

私が訪ねたときは、道路はガラガラ、駐車場には他の車は1台だけ、歩いている間に見かけた人は10人足らずでした。天気は晴れ、直近の数日間で大雨が降ったこともなかったですが、夏休み中とは言え、7月下旬だとまだ空いているようです。

仁淀川上流の安居渓谷にある水晶淵
安居渓谷にある水晶淵
仁淀川上流の安居渓谷にある水晶淵
安居渓谷にある水晶淵

水晶淵上流の砂防堰堤

水晶淵から更に150mほど上流へと進むと、砂防ダムが見えて来ます。水晶淵より水深が深いので、より濃い色が楽しめます。個人的には、大きな人工物がどーんと構えているのがちょっと残念な気もしましたが…
どの写真も日が陰っていますが、お昼前後に樹々の間から日が射すと、より美しい色が楽しめるそうです。

深いところに目をやると、自分がその深みにはまるのを想像してしまうのか、命の危険のような、なにか本能的な怖さを感じます。ちょっと泳いでみたいな、との考えもよぎったのですが、怖さが勝って、結局水には入りませんでした。ちなみににこ淵とは違って、ここでは泳いでもいいようです。

ここで行き止まりだと思い込んで引き返してしまったのですが、後で地図を見たら、更に2kmほど上流まで川沿いを歩いて行けそうでした。駐車場からそれほど遠くないですし、水のたまり方、光の当たり方によって様々な色、表情を見せてくれる渓流なので、もっと奥まで散策しておきたかったです。

水晶淵上流の砂防堰堤
水晶淵上流の砂防堰堤

仁淀ブルーはどこで見られる?

NHKスペシャルでの「仁淀ブルー」の撮影地は安居渓谷ですが、仁淀川の水の美しい観光スポットとしては、安居渓谷、中津渓谷、にこ淵が有名です。ここで他のスポットもまとめて概要を紹介しておきます。多数のサイトでの口コミから総合的に判断すると、水質の良い順に並べると、安居渓谷>中津渓谷>にこ淵となるようです。

なおこの3ヵ所は、仁淀川の別の支流にあり、結構離れています。東から順に、にこ淵(枝川川)から安居渓谷(安居川)までが34km、安居渓谷から中津渓谷(中津川)までは21kmあります。ハイシーズンは、特ににこ淵、次に安居渓谷で渋滞することがあります。少し時間に余裕を持った計画をしてください。

安居渓谷、中津渓谷、にこ淵と付近のキャンプ場の場所は下のGoogleマップで確認してください。右上の□アイコンで「拡大地図を表示」すると詳しく見ることができます。

□安居渓谷
NHKスペシャルの仁淀ブルーの撮影地なので、一番キレイな仁淀ブルーが見たいならここがいいでしょう。渓流に沿った歩道を歩きます。石がゴロゴロしたところ、湿ったとこがあるので、ちょっと注意して歩く必要があります。ベビーカーは無理ですが、幼稚園児でも問題ありません。
せり割洞窟、飛龍の滝、昇龍の滝もあります。滝に回らないのであれば、滞在目安は30分程度です。
・駐車場:水晶淵まで150mのところに2ヵ所
・ガイドツアー:仁淀ブルー観光協議会、仁淀川町観光協会、四国ツーリズム創造機構
・キャンプ場:宮崎の河原キャンプ場、池川ふれあい公園オートキャンプ場

□中津渓谷
2kmほどある遊歩道に沿って、滝や岩など、ダイナミックな景観が楽しめます。安居渓谷より歩きやすい道になっていますが、アップダウンはあります。雨龍の滝、紅葉滝、竜宮淵、石柱などがあります。滞在目安は60~120分です。
・駐車場:中津渓谷駐車場(40台)
・ガイドツアー:仁淀ブルー観光協議会、仁淀川町観光協会、四国ツーリズム創造機構、NIYODO ADVENTURE
・キャンプ場:夢の森公園キャンプ場、星ヶ窪キャンプ場、吾川スカイパークキャンプ場

Googleマップで「中津渓谷駐車場」と表示されている駐車場はトイレ用で、3台しか止まれません。避けた方がいいでしょう。「中津渓谷駐車場」の正しい位置は下のGoogleマップで確認してください。右上の□アイコンで「拡大地図を表示」すると詳しく見ることができます。

□にこ淵
最も映えるスポットです。地元の方に聞いてみたところ、一番綺麗な青を見られるのは晴れた日のお昼頃だそうです。淵に太陽の光が注いでいるときの方が美しく見られるからです。
かなり急な階段、坂道があります。ひとつの滝、淵を見たらおしまいです(滞在目安~20分)。淵の周りのスペースが狭いので、10人ほども居れば、写真撮影の順番待ちになってしまいます。水に入ることは禁止されています。泳いで写真を撮っている人もいますが、泳ぐことはできません。
・駐車場:にこ淵への降り口まで100m以内に3ヵ所(駐車スペース④⑤⑥)。800m以内に更に8ヵ所(駐車スペース①②③⑦⑧⑨⑩⑪)。加えて番号が付いていない駐車場が一ヶ所。
・キャンプ場:グリーンパークほどの、白猪谷オートキャンプ場

にこ淵と駐車場の場所は下のGoogleマップで確認してください。右上の□アイコンで「拡大地図を表示」すると詳しく見ることができます。

仁淀川の水質の良さは日本一? それとも日本一「級」?

仁淀川について調べていると、「日本一美しい川」とか、「全国の水質ランキング1位」といった言葉が並んでいます。でも本当に日本一なのかが気になったので、調べて別の記事にまとめました。

結論としては、国土交通省が毎年発表している「水質が最も良好な河川」に選ばれた9~18の河川のうちのひとつ、ということで、日本一ではあるものの、単独一位ではありませんでした。

国土交通省「水質が最も良好な河川」(2010~2019年)
表1:国土交通省「水質が最も良好な河川」(2010~2019年)

※表1は、国土交通省 全国一級河川の水質現況の平成23年~令和2年版を元に作成しました。
「直近10年」と「選ばれた河川の数」は独自に集計したものです。

しかし、環境省の基準に則って調査しているため、国土交通省でも、その河川の中で優劣をつける術がなく、「同率一位」として発表しています。それゆえ、仁淀川の水質の良さは「日本一」と言っても決して過言ではありません。

次回の発表(令和3年7月1日)を待ちたいと思います。

(2021年7月更新)令和3年の発表でも、仁淀川は「水質が最も良好な河川」になりました。

仁淀川の水は何故美しいのか

仁淀川の水が澄んでいるのは、急流であるがために、雨が降る度に川底まできれいに洗い流されるから ※2 なんだそうです。水かさが増すと水が汚れるものだと思っていましたが、正反対だったのですね。とは言え、日本の河川であれば、上流域が急流なのはどこも似たり寄ったりだと思います。

仁淀川の場合は、
・降水量が多いこと(大量の水で洗い流される) ※2
・流域に自然林が多いこと(手入れの行き届かない人工林だと表土が流れ込む) ※2
・流域人口が少ないこと ※2
・水温が速く藻が繁殖しにくいこと ※3
・川床の岩盤が固いこと(削られた破片が少ない) ※3
など、様々な要因が重なって、奇跡の清流になっていると考えられています。

「急流」についても、例えば四万十川は標高1,336mから196kmかけて海に注いでいる ※4 のに対して、仁淀川は1,982mを124km ※4 です。四万十川と比べて2.3倍も急な流れだということが分かります。

※2:高知県 仁淀川清流保全推進協議会主催 第2回仁淀川シンポジウム 実施報告書
※3:【高知県公式】高知県まとめサイト 高知家の○○
※4:ウィキペディア